アレモ コレモ ヨミタイ

読んだ本のことを書いたり書かなかったり

経済学の船出 : 創発の海へ / 安冨歩

 Twitterをみていたら阪急電車の中でベルカント唱法と思しき歌い方でめっちゃ歌ってる女性の後ろ姿を動画でアップロードしている人がいて、思わず2度見してしまったのだが、歌ってる後ろで動画を撮っている人なのだろうか、笑いながら「うるさい」っていってる声が入っていて、それに若干キモチワルさを覚えた。たぶん友だちとかの手前一応否定しとかないとというその人の気持ちがのっかってしまっているような気がしたのだと思う。いや、ええやん、面白いやん。感動せいとまでは言わんけど、否定せんでもええやん、と思ってしまったのだ。

 とかくこのご時世、己が身を守るために必死になって己が身を費やすみたいなことになっていて、自分も含めて、一体みんな、なんのために何をやっているんだかわからない状況が加速しているように思われるのだが、この己が身を守るためのアイテムのひとつとして、状況および当事者つまり自分および関係者以外を全力で否定する、という行為が存在するように思う。

 本書で論じられていることは多岐にわたっていて、価格ということについて網野善彦の無縁の原理を使って論じ、マイケル・ポラニーの暗黙知をひくことによって西欧的民俗バイアスというものを提示し、思考や経験の共有は不可能であるが、共鳴はあるということをホイヘンスの実験によって説明するなど、著者の深すぎて広すぎる知識とこれから説明せんとすることが有機的につながっていく様を目の当たりにできる。まさに考えることを続けるためのスイッチを入れてくれるような一冊であるのだが、現在は入手できないのが非常に残念である。

 無理やりまとめると、最終的には自分自身と対象とを切り離さないことが大切なのだということがあって、すなわち冒頭の動画の件についても同じことが言えるのではないかということを考えた。身を守るために切り離す段階から一歩抜け出て、これからは、そのままそこにい続けた上で自分の頭で考えることが必要なんじゃないだろうか。

 さいごに、この記事を書いている現在、東松山市長に立候補され、絶賛選挙活動中の著者を心から応援したい。

輿論と世論 : 日本的民意の系譜学 / 佐藤卓己

 2018年6月25日の日本経済新聞朝刊の1面記事で「内閣支持10ポイント上昇」とあり、安倍内閣の支持率は52%ということになっているが、毎日新聞では5ポイント増の36%となっている。あまりにも開きがありすぎるので、もう少し見てみることに。日経の調査*1は、乱数番号(RDD方式)により990件の回答を得、回答率は47.2%とのこと。一方の毎日はというと、コンピューターで無作為に数字を組み合わせて作った固定電話と携帯電話の番号に調査員が電話をかけるRDS方式により、固定電話では518人の回答(回答率64%)、携帯電話では514人の回答(回答率80%)を得たとのこと*2

 さらに調べてみると、調査の際の選択肢の設定が日経は支持するかしないかの2択であるのに対し、毎日はこれに加えて関心がないという項目があるため*3とする記事に加えて、どちらともいえない・わからないとする答えがわずか6%であるということを強調する記事*4がある。

 そもそも各社でやり方が違う調査なのであれば、結果に各社の相違のあるのは当然であるのだから、「我社の結果が他社と違ってるのはこういうワケなんでして」といった余計な説明を加える方が、かえって怪しいという感情をいだかせるんではないだろうかというのが、この件にに関する私の率直な感想だ。

 本書「輿論と世論」では、世の中の「意見」であるところの「輿論(よろん)」と「気分」であるところの「世論(せろん)」がいかにして曖昧に統合され、混乱を招いているのかということを、戦後日本の政治史を分析することで解き明かしていく。複雑化し、その上で分断されていく社会において、正解を求めることは不可能に近い。二項対立を作り出し、決断を迫ることだけでは、もう解決できない局面にいると思う。どちらが輿論で、どちらが世論なのか。二択の構造を演出しているという点で、おそらくどちらも世論つまり気分であると言えるのではないだろうか。

ヒトは「いじめ」をやめられない / 中野信子

 いじめの起こるメカニズム、さらにいじめの起こる背景、そして回避策までを、主として脳の働きという視点から解説している。我々はふだん感情的な視点からのみで物事を捉えて、事象そのものを考慮することを忘れてしまいがちだが、むしろ感情をコントロールし、現実に何が起こっているのかを観察し分析することの大切さを痛感した。

 また、第4章の第2節の中で述べられる「ザ・サードウェーブ実験」では、人々が一人のリーダーの元に集団化すると、個人では判断できるレベルの善悪の区別さえもできなくなり、いかに理不尽な行動をしてしまうのかという事例が示されているが、これは、現在の社会情勢や、組織で頻発する理不尽な事象や不祥事の数々に結びつけて考えることができるのではないだろうか。

 いじめという問題を足がかりに、今起こっている種々の問題に取り組むヒントをくれる一冊である。

存在の耐えられない軽さ / ミラン・クンデラ著 ; 千野栄一訳

 最近聴いているポッドキャスト番組「読書のちょめちょめ」のパーソナリティー「お兄さん」に影響されて、本とはなるべく関係のないことを書く、という前提からは外れて、本の紹介に挑んでみようと思う。

 原著は1984年刊、今回読んだ文庫版の奥付にある刊年は1998年なので、けっこう前の本である。最近話題になったので手に取ったはず、なのだが、なぜ話題になっていたのか、思い出せない。ググってみたけれどわからない…と、映画にもなっていることが判明。しかし1988年公開なので、最近の話題になる理由とは考えにくい。とすると文庫化を機に、再度注目を浴びたというぐらいしか想像がつかない。

 文庫カバーにある説明文には恋愛小説とあるが、この作品は、小説の数あるジャンルの中のひとつにカテゴライズするのは不可能なのではないかと感じた。配偶者やパートナーという男女の関係を軸に、当時、おそらく1960〜70年代だろうか、のチェコスロバキアにおける社会情勢を描き出すとともに、人間にとどまらず生命の存在そのものに対する考察という視点に迫っている。小説という枠に押し込めることにさえ、違和感を感じるほどの作品だ。

 多岐にわたるモチーフが有機的につながり、ひとつの表現として収束していく様に、大変に心を動かされた。著者の出身国チェコでは未刊とのことだが、そうした作品がこの日本や他の国々で言語やメディアを変態させて拡散しているということに、不思議な巡り合わせを感じるとともに感動を覚えた。芸は人なり、というが、書物も人なり、か。

西洋音楽史 : 「クラシック」の黄昏 / 岡田暁生著

やっと春っぽくなってきた。

あいかわらず花粉症がひどい。

しもやけもひどい。

 

靴擦れが化膿して、もう2週間なるけど、

なんかまだちょっと痛いな、という感じ。

ちょっとした傷が、こんなんなるなんて、もう歳かな、

なんて思って、それを外科医に言ったら「オレにそれをいうか」

という、おきまりのやつを返してくださった。

さらに「オレは70だけどな〜」とひとくさりあって、うれしかったのだが、

8年前ほど前に、首がうごかなくなって診てもらったときも、

おんなじようなやり取りがあり、やっぱりその時も彼は、

「オレはもう70だけどな〜」とひとくさりやっていたような気がする。

よしこれからは彼のことを、永遠の70歳と呼ぼう、そうしよう、と思った。

人はこうして「食べる」を学ぶ / ビー・ウィルソン

すっかり夏です。

農協の直売所へ行ったら、ししとうにピーマン、ナスにトマト、そして青唐辛子、果物は桃がたくさん出ています。枝付きの枝豆なども山盛りで、イヤホント夏だなーってかんじ。辛いもの好きなダンナさんリクエストにより、葉付きの唐辛子を購入してみることに。

さっそく、葉付き唐辛子を調理。葉っぱの部分はすべてちぎって使用しましたが、唐辛子部分がめちゃくちゃあまっています。ちょっとかじってみたら辛かった〜あたりまえか。しかし、あの辛味はやみつきになります。たくさんは食べられないけれど。最近食欲が落ちているせいなのか、ちょっとかじっただけで何やらエネルギーがわいてくるような感じがして、気持ちよかったです。勉強のあいまにでもかじってみるか。

あとは青唐辛子を刻んで、とうがらし味噌を作成。こちらは、ここ数年恒例となりつつあります。この青唐辛子は、葉付き唐辛子についていた唐辛子部分よりも肉厚で、さらに数倍辛いと感じるシロモノ。ちょっとかじっただけで、気絶しそうに辛い。悶絶します。勉強のあいまにはかじらない方がよさそう。

あとはナスとピーマンを焼いて、うなぎのタレみたいなのをかけて食べたいものです。ビールに合いそう。

パーマネント神喜劇 / 万城目学

著者のツイッターで話題となった「パクリ」騒動について書こうとしていたのだが、きちんと説明しようとすると、いろいろ調べないといけないなぁと思って、調べつつ書いていたのだが、出かける時間になってしまったので、下書き保存して出かけたつもりが、あとで見たらできてなかった!というわけで、その件について書くのはあきらめてみた…

昨夜、ちょっと食べすぎちゃって、すごく苦しくて、朝食・お昼と食べられなかったのだけど、気づけばプチ断食みたいになっておって、なんだか快適です、いま。そんなに超お腹すいたという感じではなく、身体にたまっていたモノが消え去りつつあるような。いま少し眠いけど、勉強はかどりそう!なのにこんなことやってる、いま…

時間!時間がもったいないよ!買ってからずっと読みたかったんだけど、そのうち本棚の奥の方へいっちゃったのか、ずっと見つからなかった本と突然再会して、ひっぱり出してきちゃったよ。でも読まない!今は読まないよー!